量産型バイトロボット
あたらしい 手帳にいろいろ 書き込んで でもまだ去年の 一緒に持ち歩く
私のつかってる手帳は毎年、12月からはじまってて、1年終わったあとに3月までページがある。
使いやすいから今年も同じのにしたけど、1月からは新手帳に書き込んでも、先月の書き込みもいろいろ見るから12月のも書きうつす必要あるよね。
先月のうちに書き込んだ1月の予定も、新しい手帳のほーに書きうつした。
アナログの手帳は、二重になる書き込みがめんどくさい。
新年のたびにしばらく2冊持ちになるのがめんどくさい。
私がバカだから?
もっと頭のいー移行のやりかた、あるのかな。
自分の手帳にお店の予定ばかり書きこまれていくのが、ちょっと悲しい。
※日から※セール、とか。
仕事用の手帳は別にしよーかな、って思うけど。
たかが、バイトだしねー、って思ったりする。
バイト、って、なんか仕事に対する自分の思い入れが中途半端になる。
仕事に対する気持ちは、バイトだから、っていう手抜きのつもりはなくてもね。
でも、どんなにがんばったって、昇給とかボーナスに反映されないし、カラダ壊せばそれで解雇だし、安い時給で手帳を余分に買う余裕なんてないし。
これはグチっていうより、従業員に少しでもいー仕事してほしー、って経営者が望むなら、
「都合よく使い捨て」
が可能なシステムが従業員に透けて見えるのって、効率悪いよねー。
うちの売り上げ、はっきりはわからないけど、なんとなく私、わかるよーになってきた。
そこから、こーいう店やるコストは調べればわかるから、それあてはめて、そして従業員ぜんいんの人件費出して、どれぐらいがオーナーの取り分になるのかなー、って。
そしたら、今の従業員ぜんいん、もー少し時給あげてもダイジョーブだよね、って感じ。
新人から一律に、とは言わないけど、頑張った人たちに昇給制度があれば、それが仕事の質を落とさないモチベーションになるよね、って。
うちのお店の経営側の人たちは、それがわかんないんだよねー。
人件費は「コスト」だと思ってるから、削れるなら削りたい、って考え。
店長(オーナーの奥さん)が、主婦のパートさんにいろいろ怒ってる時、
「いつでもやめてもらっていーんですからね。それじゃ、あなたが困るでしょ」
って怒り方してた。
確かに、そのパートさんの仕事って意識的に頑張ってないよねー、って「いい加減」な感じだったから、そんな程度の仕事なら代わりはいくらでもいる、っていうのもウソじゃない。
私も、カトリーヌさんにイライラしてた時、この人以上に働く人なんていくらもいるから、違う人雇って―、って思ったことあるし。
でも、そんな言い方されたら、その人、頑張るかな。
「代わりなんていくらでもいる」
って言われて、
「私の代わりなんていないぐらい頑張りますよ」
って思うのは、数千万の報酬とってるよーな人の意気込みだよね。
底辺時給で人を雇うっていうのは、もっと高い時給の職場からこぼれてきた人たちが集まりやすいんだから。
代わりはいくらでもいるし、簡単にだれでも代わりになれるよーに、業務はぜんぶマニュアル化されている。
でも、働く人をコストとしか見ないなら、コストパフォーマンスについて、もっと考えればいーじゃん、って思う。
底辺時給しか出さなくても、みんな自主的に気持ちよく働いてくれる、っていう「なにか」について。
それは、昇給だったり、ねぎらいの言葉だったり。
仕事できない人に「代わりはいくらでもいる」って経営者が言うのは、その言葉は仕事ができない人だけにあてはまらない解釈される。
ここの経営者は、従業員なんて代わりはいくらでもいるんだからねー、って思ってんだよね。
ってこと、ほかの従業員たちも知れば、それまで頑張ってた人だって頑張る気が失せるよ。
前のオーナーがそーいう考えだから、その娘の店長もおなじ考え受け継いでるんだよねー。
「代わりはいくらでもいる、なんて言われたら、従業員ぜんいん、いっせいにやめちゃうこともありますよ。明日からだれも来なかったら、営業ムリじゃないですか」
って、私、あとで店長に言った。
「そんなこと考えてるの? やりたいならやれば」
って、言い返されたから、
「それはほんとにそー思って言ってますか?」
って、私も言い返しちゃった。
前にもこんな話、したよねー、って考えて、前にもこんな話、旧オーナーにしたこと、思いだした。
前は、そんな従業員バカにしたこと言われてもみんな生活があるからやめたくても働くしかない、ってこと言い返したと思うけど、今の私、ふてぶてしさがあれから進化してる。
「バイトがいなければなりたたないお店では、バイトだって正社員とおなじよーなものじゃないですか。それをこーいうお店は最低のやっすい時給で使って、正社員を雇うより儲けをだしてるんだから、うちみたいなお店には正社員よりバイトのほーが経営者にとって価値が高いでしょー」
って、また言い返した。
「それは屁理屈だ」
って、怒られたから、
「私の代わりもいくらでもいますか」
って、私もまだ言い返しちゃった。
私の代わりなんて、いくらでも、いる。
そしたら店長、
「いるよ」
って、一瞬で言い返してきた。
だから、私も言い返した。
「こーいうお店も、いっくらでも"代わり"はありますよ。ここが潰れても、だれも困らないですよ。従業員もお客さんも。だから、どんな店も潰れないよーに必死になるんでしょ。うちみたいなお店は、経営者が感じ悪いってだけで、お客さんはほかのお店に行きますよ。だから、経営者も従業員も両方、一緒になって頑張るしかないでしょ」
って。
使えない従業員がいれば、使えるよーに教育すればいーし、それでもダメなら、「仕事ができない」って理由で解雇すればいーから。
でも、解雇する時の脅し文句に「代わりはいくらでもいる」って言葉使ったら、その言葉はどんなことにもあてはまるからね。
うちみたいなお店は、いくらでも代わりがある。
A店が潰れても、お客さんはB店に行くだけ。
A店を潰すな、ってシュプレヒコールあげてくれる人なんていないから。
おなじ通りに、いくつも同種のお店がある。
同系列のお店だってあるからね。
本部にとっても、「代わりはいくらでもいる」んだよね。
代わりがいくらでもいる中で、なにが残るの?
どこもおなじ系列はおなじ商品を売ってる。おなじサービスを提供してる。
お客さんは、自宅から数歩少なくて済む、とか、帰り道にいちばん楽な経路、とか、ごくごくささいな理由だけで「たまたま」そのお店を選んでくれてる。
そんなお客さんに、いつまでもうちに来てください、って思うなら。
違うお店より、なにか心地よさを感じさせることだったり、ほんとにすごいささいなことでお客さんを繋ぎとめるよ。
マニュアルにある挨拶を、ただの無機質な営業スマイルで口にするだけか、心がこもってる感じで言うか。
それだけでも、お客さんの反応はすごい違うからねー。
「また、うちに来てほしーなー」
って従業員がお客さんに思うのって、その従業員が自分のお店を大切に思ってないともてない考え、だからねー。
「代わりなんていくらでもいる」
っていう経営者のお店で働く「代わりなんていくらでもいる」従業員が、そのお店を大事にするかな。
しないよ。
するわけないじゃん。
そんなこともわからなくて、お客さんに愛されるお店、なんてつくれないから。
従業員が愛してもいないお店を、お客さんが愛するわけないから。
そんな従業員をコストとしか見ない経営者は、お客のことだって「金」にしか見ないよね。
商品を提供してお金もらうだけだったら、自動販売機でいーし。
そーじゃなくて、対人の接客、っていう形をとってるのは、そこに「人」が必要だから、でしょー。
「人」を感じること、が。
だから、マニュアルでもフレンドリーな接客がすっごい徹底されてる。
従業員も「人」だから。
ロボットじゃないから、量産できる、なんて考えないで。
解雇する時も、その相手に誠実な理由、掲げて。