阿修羅のオープンハート
水もなし さまよい歩く 砂漠にて 見えるオアシス 不毛の蜃気楼
砂漠に水も持たないで足踏み入れて、途中でやっぱり水を取りに街に戻ろーかなー、って思ったけど、つっぱしればオアシスに辿りつくかもしれないなんて考えたのがバカ。
そんなバカ菌が自分の脳みそで修羅修羅してたら、名義上のカレシ(id:bulldra)が名義上の修羅場(⇒名義上のカノジョと名義上の修羅場になりました - 太陽がまぶしかったから)からオープンハートをぶらぶらさせて、それにつられた私を砂漠からひき戻してくれて。
そのあと、半日近く時差のあるとこにいる人と、ちょっとリアルタイムなおしゃべりもして。
ここでなんとか自分の頭をメガバカモードからデフォルトバカモードに切り替えれて。
そんなバタバタな朝迎えてたら、今度は店長から電話がかかってきて、今日店長は病欠しちゃうからいろいろよろしく、っていう連絡。
その「いろいろ」をいくつか具体的に聞いたけど、その中に「トラブル処理」も含まれてて、予定してた時間より早めに慌てて出勤。
眠気覚ましにコーヒーを飲んだのに、トイレに行くの忘れて家を出ちゃったから、お店に着いたらまずはおしっこ!
って思ってたのに、お店に着くなりレジのとこでトラブル発生中。
「あ、ミカサ、いーとこに来た来た」
って、手招きで呼ばれて、私服のままそのトラブルの説明されて、
「とりあえず急いで勤怠押して制服着てきますー」
って、ダッシュで裏に入って。
おしっこしたいのに、それどころじゃない状況いきなり勃発。
裏に入ったら、夜勤明けで帰ったオーナーから私への引き継ぎが、病欠の店長の分も一緒にどっさり。
それ読んでる暇なくて、すぐにレジに戻って、そこでその場のトラブル応対。
それから、
「店長に電話ですー」
って呼ばれて、店長いないから代わりに私が受けて。
おしっこー、って思いながら電話してた。
電話の件はその後に処理が必要なことで。
それから引き継ぎのいろいろぜんぶ確認して。
そーだ、おしっこ!
って膀胱の修羅場思い出して、トイレに行ったら、定期清掃のチェックがついてないの見つけて、
「あれ?今日まだ清掃してないのー?」
って、当番の人に確認したら、忙しすぎて忘れてたって慌ててその人が清掃に入って。
私は事務所に戻ってから、おしっこするの忘れたの思い出して、それで清掃が終わるの待ってからやっと膀胱の修羅から抜け出せた。
ここでトイレに行けない事態が勃発したらぜったい漏らしたよねー。
っていうギリギリ。
それからカトリーヌさんが出勤してきて。
(カトリーヌさんはうちの緊急募集の求人ポスター見て電話してきて、店長は「どの時間帯にも入れる同系列店経験者」だから即雇ったのね)
その日、私はレジ応対はなくてぜんぶ自分の仕事だけのシフトだったんだけど。
通常業務とイレギュラーな業務と山盛りになってるとこにトラブル応対が数件あって、ちょっとめんどくさいトラブル処理もあって、事務所で私の頭の中はまた修羅修羅。
でもその日、どーいうわけかものすっごい混んで、レジが通常モードじゃ間に合わなくて、1レジ2人体制に。
(ひとりがレジやって、もーひとりが袋詰めとかフード取ったりとか)
店内には通常シフトの2人と、発注にきただけのパート1人。
その発注パートさんもレジ入って、私もレジに駆けつけて。
そしたらレジから動けなくなるぐらい混み混みの時間が暫く続いた。
私はカトリーヌさんとおなじレジに入ったんだけど。
お客さまがずーっと列をなしてる、っていう混み方じゃなくて、断続的にレジ2台必要な状態で、だから時々、1~2分お客さまの列が途切れる。
でもレジから出る暇まではない、っていう中途半端な間合いだから、レジで手があくたびにカトリーヌさんがいろいろ雑談してきた。
今のお店ではカトリーヌさんは「前のお店から来た組(私とブルータスも)」っていう区別をオープニングスタッフたちからされてて。
それでカトリーヌさんはまだおしゃべりできるよーな相手もいなくて、私にものすごいフレンドリーなの。
前のお店の時には信じれないぐらい、なんのイヤミも含まれない純粋なフレンドリー感覚で私にいろいろおしゃべりしてくる。
それでレジ応対の合間にそんな雑談してきて、その話の1つが私のものすっごい笑いのツボだった。
でもちょーどそこにお客さまがレジに来たから、笑うの一旦保留にしてレジ応対。
だけど、その笑いの保留ボタンがうっかり解除されそーな勢いがあって、私は平常接客モードを保つのにすっごい必死だった。
やっとお客さまがまた少し途切れた時、一気に保留ボタンが解除されて、私は笑いだす前にむせて、死にそーになった。
慌ててレジの裏に入って呼吸整えてきたら、カトリーヌさんが、
「だいじょーぶ?」
って、私に笑って。
だから私も、
「あんなとこで、(こんな笑える話)やめてー」
って、またすっごい笑って。
そしたらそれ見てた隣のレジの主婦パートさんが、
「ふたり仲いーねー。やっぱ前のお店組だから息が合うのかな」
って、にこにこ言ってきたの。
「えっっっ」
って、いう反応が私の中で湧いた。
でも、カトリーヌさんは、
「ミカサとは仕事やりやすいから。前のお店でも仲良かったし」
って、にこにこ答えてた。
「えっっっっっっっっっっっっ」
って、私の中でまたそんな反応湧いた。
でも私、こーいうのが、修羅が解ける、ってことなんだなー、って感じて。
カトリーヌさんとホンキで笑える話ができるなんてねー。
って思うけど、それを別に覆す必要ないしね。
いつかまたカトリーヌさんとはこじれることになるかもしれないけど。
でも、こじれないままかもしれないし。
レジの修羅が終わってから、私はまた事務所の修羅場に戻って。
感情的にモヤモヤするトラブル対応を何件かやっつけて。
それでもカトリーヌさんがあがる時、私にまたバカ話をしてきて、そこでもふたりですっごい爆笑して。
この人、こんなおもしろい人だったの、っていうすっごい発見。
フレンドリーでないとわからない顔ってあるよね。
職場でものすっごい爆笑したから、私はなんか笑いのハイテンションモードに入って、わりと楽しい気分で仕事あがった。
さいきん、仕事あがる時、こんな楽しい気分なこと、あまりなかったからねー。
そのまますぐ帰ってもよかったけど、帰るとどーせ家事の修羅がいろいろ待ち受けてるからって思って、途中でゴハン食べてった。
途中のファミレスでひとりゴハンしたんだけど。
私が入った時、ドリンクバーのコーヒーのマシンを業者さんが開けて修理してた。
店員だけで対応出来ない故障が起こったんだなー、って思いながら、私はアイスコーヒー飲んだ。
そのおかわりをとりにまたドリンクバーに行ったら、私のお母さんより年配のおばさんが、まだ修理してる業者の人にものすごいネチネチからんでた。
「ホットコーヒー飲みたいのに飲ませないのか」とか、「お客が飲みたい時に飲めないのってどーいうことか」とか、そんな意味の文句をあまりきれいじゃない言葉でいろいろネチネチ。
小声だったから、近くに寄らないとそれがほかの人には聞こえない。
私もそばに寄るまで、そのおばさんは、いつ直るかなーって気にして機械見てる、っていうぐらいにしか見えなかったから。
業者さんは「すみませんすみませんすみません」って小声でずっと繰り返し謝り続けて、中の機械にてこずってた。
この人が壊したんじゃないのに。
って、私は業者さんが気の毒になった。
コーヒー飲みたくてドリンクバーのお金払ったのに飲めない怒り、もわかるけどねー。
それから少しして、店員さんがお客ひとりひとりに、ホットのコーヒーが提供できない状態になったので、それが目的でドリンクバーを注文なさってたら返金します、って謝りにまわってきた。
私はアイスコーヒーが飲みたかったから、
「これ飲みたかったからだいじょーぶですよー」
って、答えたけど、あの文句言ってたおばさんはどーしたのかはわかんない。
私が帰るまで業者さんはマシンと格闘してた。
こーいうメンテの人は、いつも理不尽な怒りをダイレクトに受けながら機械の修理をしてるんだなー、って思った。
機械を直すだけじゃない。
故障に怒る人の不機嫌のケアもあるんだね。
その怒り、ここに向けてもしょーがありませんよ。
私はおばさんと業者さんの様子を見て、そー思った。
傍から見れば、そーいうこと。
でも自分がその修羅にいると、それがわかんなくなる。
おばさんの憤りが悪いとは思わない。
でも、その出し方、ちょっと違うよね、ってこと。
自分の中にある感情を打ち消すことだけが賢いことでなくて。
それをどう扱うか、っていうとこに賢さが問われる。
不毛な砂漠に踏み込んだ私のバカさは、そーいうこと。
違うルートでオアシスを探せたはず。
正義をこじらせた阿修羅のように、こじらせてしまうことで「そのもの」を自分が貶めてしまうものあるね。
「それ」を抱くことはけっして間違いではないことでも。
こじらせないで戻っておいで。
っていう声を私はいろいろもらった。
オープンハート。
時差を越えた言葉。
爆笑できる笑い話。
どんな修羅も、そこに垂らされる蜘蛛の糸みたいなものがあるね。
それを気づかなかった時、ほんとの修羅に堕ちるね。
自分のバカは自分がこじらせて、ほんとのバカになる。
もどってこれる道がなくなった時、ほんとのバカになる。
最初から邪な種を撒いたわけでなく、自分の中できれいな種を撒いてきれいな芽を育てよーとしても、その育て方をこじらせれば修羅の花が咲いちゃう。
それは自分しだい。
だれのせいでもない。