いろんなお客といろんな接客
うちの店 四季折々の 問題が 順繰りめぐる 今は騒がしい夏
老若男女、職業問わず、いろんな人たちがくるお店だから、絶え間なくいろんなことが起こってる感じ。
幼稚園ぐらいの幼児がひとりで買い物に来ることもあるし、お店に来たけどなにしに来たのか思い出せなくなってるお年寄りのお客も来る。
アイス買って、ハンドバッグの中のファスナーの中に入れて、ってバッグ開いてくるおばーちゃんがいた。
「そんなところにいれるとすぐ溶けちゃいますよ」
ってレジ袋にいれよーとしたけど、バッグに入れて、って何度もいうから、ファスナー開けてあげた。
そしたら、いつ買ったかわからないアイスがドロドロになって入ってた。
「ここに入れると忘れちゃうんだ」
って思ったから、溶けて腐ってたアイス出して、従業員用のティッシュ取ってきて、濡らして拭けるだけ拭いたあと、買ってもらったばかりのアイスは勝手にレジ袋に入れて、ハンドバッグの取っ手のとこに縛ってあげた。
「おうちに帰ったらすぐ食べてくださいねー」
って言ったけど、帰ってちゃんと食べてくれたかわかんない。
店員にできることはお店出るまで。
小学生とか中学生とかあきらかに「コドモ」って感じの未成年には、うちのおばさんたちは敬語使わない。
それはバカにしてるっていうより、自分の子供みたいにお母さんの気持ちになるからだと思う。
でも、それですごいクレームが、未成年のお客の保護者からきたことある。
子供でもお客なんだからちゃんと敬語使え、って。
それからお店では、年齢関係なく徹底して敬語を使うように、ってみんな怒られた。
だけど、子供によっては、お母さんみたいな口調でしゃべってもらったほうが嬉しそうな子もいる。
だから、おばさんたちは店長から怒られても基本、子供にはちゃんとした敬語使ってない。
私はそれができない。
私は子供がすごい嫌いだから。
優しい気持ちにならないから、子供に喜ばれる接し方が、感覚的にわからない。
それで、うちの子供のお客にはみんな、ちゃんと大人とおなじ敬語を使う。
ちゃんと、
「ありがとうございました」
って、アンパンマンやプリキュアの駄菓子をいれた小さいレジ袋を幼児に渡して、ちゃんとおじぎしてる。
2歳や3歳の子にも敬語で話す。
それやっても、子供はぜったい笑顔にならないし、保護者の人から褒められたこともない。
子供に敬語で接客するのがぜったい正しいことじゃない、って思う。
そよかぜさんはすごい子供の扱いがうまくて、すごい自然にタメ口で話しかけてる。
それで子供も、そよかぜさんのこと「優しいおねーさん」って感じで嬉しそうにしてる。
ブルータスも子供の対応がすごいうまい。
トレーディングカードとかは、触ったり機械使ってレアカード探すのは上から禁止って言われてる。
でも小学低学年ぐらいの男の子は、袋触ってこようとする。
それは、機械使うプロの人たちよりすごい悪質じゃないけど、私とかほかのおばさんたちは一応「触らないでね」って注意する。
ブルータスはそういう時、カードを箱から出してぜんぶレジに並べて、
「どれがレアカードか、見るだけで当ててみ」
って、レアカード探すのをゲームにしてる。
そうすると、小学生ぐらいの男子はすごい面白がって、触らないで当てようとしてくる。
それで選んで買ってくと、
「ハズレちゃったらごめんなー」
ってブルータスは言う。
子供はそれで苦情なんてぜったい言ってこない。
すごいうまいと思う。
でも私にはこういうのは、自然体で真似できない。
時々、すごいわけわかんないクレームやイチャモンつけてくるお客もいる。
そういう時は、店長が不在時は、
「あとで店長から返答いたしますので、おそれいりますが」
って、相手の連絡先を聞くのが正しいマニュアルになってる。
でも、夜勤に入ってる次郎君とかブルータスは、だいたい自分で対応しちゃう。
すごいイチャモンつけられても、すごい毅然とした態度で、
「それはムリです」
とか、ちゃんと言い返す。
万引き見つけると、追いかけて捕まえる。
捕まえてからの対応は、これはネットに書いていーのかわからないから書かないけど。
今のところ、どんな「困ったイチャモン系のお客」でも、次郎君やブルータスの強い態度でうまく解決できてるけど、店長は、解決できなかった時をすごい心配してる。
それは自分の保身じゃなくて、次郎君やブルータスの身を心配して。
店長が不在時にお店側に不利な形でイチャモンつけられても、それはちゃんとあとからオーナーや本社が法的に対応できるから、現場はムリな対応しないで、ってすごい言われてる。
うちみたいな業種のお店は、強盗って、そんなにすごい事件じゃなくて、しょっちゅうあちこちで起こってる。
自分のお店はヘーキでも、すぐ近くのとこで襲われた、なんて珍しい話じゃないから。
だから、警察も強盗事件(未遂も)が起こるとある一定の範囲内の同種のお店には、直後にすぐパトロールに来て、警戒を呼びかける。
そういう注意のパトロールが来ると、もう夜勤は戦闘態勢。
ふざけてなくて、真面目に。
防犯のことはネットに書けないことがたくさんありすぎるから、書ける範囲しか書かないけど、レジのお金の対策もちゃんとシステムとしてある。
「※※で強盗発生」
って一報が入ると、レジの防犯対策をすぐにチェックするし、あとは自分たちの休憩の取り方とかはその日は変わる。
完全防犯モード、になる。
でも、お店や本社からは、強盗が入った時、人命優先とか、カラーボール投げましょうとか、綺麗ごとや建前しか指導されてない。
私はバイトした時からすごいフシギだったのは、誰も、
「強盗ってどうやって強盗していくの?」
っていうことを具体的に教えてくれないこと。
うちの店はすごい何年も前だけど、いちど強盗の被害にあってる。
「だから気をつけてください」
って言われるけど、
「その時、どんなふうに強盗が入って、どんなことしたか」
ってのは教えられてない。
それが一番、現場の従業員は知りたいのに。
「レジのお金は渡していーです。人命優先です」
って言われるだけで、安心するわけじゃないから。
どんなふうに脅されるのか、なにも知らないとすごい怖い。
この怖さ、強盗がくるかもしれない現場にはぜったいいない上の人たちには、実感でわかってないと思う。
だから、私は警察がお店にパトロールにくるたびに、
「強盗ってどーやって襲ってくるんですか?」
って、しつこく聞いた。
「※※で強盗発生したので注意してください」
ってパトロールが来た時も、
「どういう手口で襲われたんですか?」
って、ぜったい具体的に聞く。
その前に警察の制服きた人が「パトロールです」って言っても、私は警察手帳や名刺見せて貰ってから、その所轄の警察署に電話して、
「今、※※さんって警察官が来てるんですが、この人は本物の警察の人ですか」
って確かめてから対応してる。
それをすごいムカついてくる警察官もいたけど、
「それが正しい応答です。これからぜったい、警察官が来てもその身分を確かめることからしてください」
って言ってくれた警察官もいた。
私はいつもしつこく強盗の手口聞いたから、いろんな手口、教えてもらった。
教えてもらったいろんな手口は、「強盗マニュアル」って自分で作ってバックヤードの掲示板にぶらさげてる。
その中には、店長もぜんぜん予想もしてなかったすごい手口もあった。
「えー、こんな手口でやられたら、強盗ってわかるまでなにも気づけないよねー」
って、みんなでびっくりした手口だった。
教えてもらえば、その対策、考えれるから。
私たち夜勤メンバーは、自分の身は自分で守ろう、って言ってる。
だからいろいろ、対策考えてる。
次郎君やブルータスみたいに、「強盗と戦って勝つ」って対策は、このふたり以外には通用しないから、それとは違うの。
基本は、戦わないで「逃げる」。
日本の強盗は刃物が多いから、まだ大人しくお金出せば助かる、って本社からも警察の人からも言われるけど、私はなんで刃物で脅してお金盗る人をそんなに信じれるのはわかんない。
むしゃくしゃするからついでに人刺したい、って思う強盗もいるかもしれないのに。
だから、「黙ってお金を渡す」のも大事だけど、私はその前に「逃げよー」ってみんなに言ってる。
結構顔見知りになった警察官の人も、
「まず逃げて。逃げれるならまず逃げて。お客と一緒に逃げて。安全なとこに逃げてから通報して」
って教えてくれた。
うちのお店の構造上、「逃げる」って方法にはいろいろ制限がある。
だから、お店の構造上、出口のほうに逃げれなくなった場合、「身を隠す」とこが必要だと思った。
そういうのは上の人たちはだれも指示してくれないから、夜勤だけで勝手に「身を隠せる場所」作った。
これもネットには書けないけど。
お店の構造って似てるとこが多いから、それ書くと、強盗に情報与えると思うから。
それから、「逃げる」方法、夜勤でいろいろ考えた。
あるやり方で、出口のないある場所から逃げ出す裏ワザとか思いついた。
新人が入ってくると、研修で教えてもらわない防犯のことは、夜勤ではぜったい教えあう。
カラーボールなんて投げたことない人には意味ない防犯グッズだから。
ある手口で襲われた時は、ほんとに逃げ場なくなる。
その犯人が、「人も刺したい」って思ったら、間違いなく殺される。
だから、そういう「追い込まれない」逃げ方が、夜勤の知恵。
ほんとはおなじ業種で働いてるバイトの人たちに、「これいーよ」って教えてあげたいけど、ネットだと、それを悪用する人も見れるから、ネットで伝えれることの限界感じた。
本社はほんとに人命を大事に考えてくれてると思う。
でも、現実的な防犯としてはぜんぜんベストじゃないと思う。
いつまでも日本の強盗が、包丁みたいな小さい刃物で脅してお金盗るってだけの、安全な強盗じゃないと思う。
銃やナタみたいな凶器を使われたら殺される。
強盗が店員を殺さないって、なにも保証ないのに「大人しくお金渡せば命は守れる」みたいな指導される。
上の綺麗ごとのマニュアルは、現場の感覚とズレてる。
だからって、現場だけでうまい方法考えて、それでなにかあれば、「勝手にやった」って現場責任にされる。
強盗については、私はいつもすごいフシギに思うことある。
刃物で脅す強盗がすごくカジュアルに頻発してるんだから、夜勤だけでも制服はなんで防刃仕様にしないの?
夜勤の夜更けにレジに立つ時だけでもそういう防刃ベストつけるだけで、「強盗に刺される不安」はけっこう解消されると思うのに。
アマゾンで調べたら、そんなにバカ高いものじゃなかった。
全国の24時間営業のお店で、深夜に働く従業員の命って、その防刃ベストのコストかける価値もないですか。
(誤解されると困ると思ったので追記です。ほかのお店の状況はしらないけど、私の働いてる経験上では、強盗対策ってホンキだされると、けっこうすごいレベルで行われてます。ニュースで報道されないけど、強盗事件が続くと警察もけっこうホンキでいろいろ対策してきます。防犯というより「捕まえる」という面で警察はホンキだします。だから、軽い気持ちでやるのは絶対やめて。自分のためにも。レジには大してお金入ってないから、すごい少ないお金のために自分の一生棒に振るから。昨日のどこかの強盗が捕まってなくても、ちゃんとその事件から学んだ対策を即日とられるから今日の強盗は捕まらないって限りません。簡単にやれると思う強盗は、簡単に自分の人生ダメにしちゃうから、簡単にやろうと思わないでください)