転職と副職の道
毛布だして トレーナーだして 冬支度 車の冷房切って すぐ暖房
この前まで夜走ってても、窓あけてると風が涼しいのに湿気がすごくて、車はエアコンつけてないと窓が曇ってた。
でも、今は夜走ると、足先に暖気が欲しくなるからねー。
暑いか寒いかしかなくなっちゃった季節。
ここでストップ、って、ちょーどいい気候の日にリモコン空に向けて、一時停止ボタン押したい。
少し服欲しーなー、ってお金もないのに思う季節の変わり目。
今、すごい「moussy欲しい病」にかかってる。
私の稼ぎじゃハニーズだって悩むから、マウジーは買えそーでムリムリ、ってもっと悩む。
服って、1着だけ買えばいー、ってものじゃないからねー。
マウジー欲しー、ってマヨちゃんにぼやいたら、
「キャバでバイトすればいーじゃん!」
って言われた。
今、体入キャンペーン中なんだって。
っていうか、マヨちゃんとこのお店、ノルマがないすごいゆるゆるなとこだけど、相場より時給安いから、稼げる女の子はすぐやめちゃうんだって。
それで、いつでも緊急に募集してるんだって。
「だから、あたしとかー、キャバ子とかー、ピンクちゃんとかー、そーいう頭のおかしーのしか残らない店だからー、ミカサでもダイジョーブだよー」
って、誘われた。
キャバ子さんは、マヨちゃんの天敵になったからねー。
ピンクちゃんっていうのは、全身ピンクの服やアクセのピンクマニアなんだって。
入ったばかりで指名がいちばんとれて、今はナンバーワン、なんだって。
でも、性格はナンバーワンにブラック、なんだって。
待機室でタバコ吸ってる時、マヨちゃんのバッグの中に灰を落とすんだって。
マヨちゃん、キレてピンクちゃんの髪ひっぱったら、ピンクちゃんのウィッグがとれちゃって、タバコの灰のこと謝るまでそのウィッグ返さないことにしたんだって。
それでマヨちゃん、さいきんはそのウィッグかぶって仕事してる。
頭のてっぺんが異様に盛り上がるウィッグだから、いつもお客さんにそこ、指でつっつかれるんだって。
そーいう話、いつもいろいろ聞くから、キャバの接客より、待機室にいれる自信がぜんぜんない。
前に一度、体入したことあるけど、あの時は、ぜんぜん好きじゃないタイプのお客にへらへら笑うのムリすぎる、って思ったけど。
でも、週1でもはいれるし、週1の子は全額日払いできるんだって。
少し迷う。
マヨちゃんは、昼間のバイトやめてから、もー昼間に働けない性格、って悟ったみたいだった。
だから、今のお店、65歳までいることにした、って決めてる。
なんで65歳、って、年金がもらえる年まで、なんだって。
「そんな年までお店あるのー?」
って聞いたら、
「あるんじゃねー。うち、ボーイも店長もほかで働けないバカばっかだからー。みんな、ここで年金もらうまで働くしかないでしょ」
って、言ってた。
もしお店がなくなっても、おなじ通りに熟女パブがあるし、ニューハーフバーもあるから、転職先はあるし、って言ってた。
ニューハーフバーでマヨちゃんがなんの仕事するのか、わかんないけど。
でも、ニューハーフバーの前歩いてたら、スカウトされたことあるっていうから、マヨちゃんはそこも転職リストにいれてた。
今、マヨちゃんとゴスちゃんは喧嘩してる。
このふたりはしょっちゅう、すごい喧嘩してるから、みんな慣れたけど。
ゴスちゃんは、高卒であるお店に就職して、それで仕事できるからって、もー店長になってる。
ほかの子たちは(私も)、卒業した時の進路からみんなはずれたからねー。
ずっと同じ仕事頑張って続けてるの、ゴスちゃんだけ。
ゴスちゃんから見ると、マヨちゃんは男にだらしないし、仕事もだらしない、って。
マヨちゃんから見ると、ゴスちゃんと頭の出来が違うんだから、親でもないのにゴスちゃんは「うっせーんだよ!」って。
ふたりが仲良くなる時は、ふたりで私をお説教する時。
ふたりから見ると、私はいろいろとダメすぎるんだって。
コケちゃんは、そんなふたりのこと、すっごい覚めてみてる。
「ミカサになにえらそーなこと言ってんだろーね。あたしら、みんな、地元でいちばんのバカ高に行ってたバカなのに」、って。
コケちゃんは、みんなと仲がいーけど、高校の時から女子のグループっていうのが嫌いで、みんなで集まる時はあまり来ないで、ひとりひとりとつきあってる、って感じ。
まだほかにも、ふたり、私たちと仲いい子がいる。
飲み会とかやると、いつも誘ったり集まったりするのは、その6人。
(コケちゃんだけ来ないこと、多いけど。私も時々、気分で行かないけどねー)
私の友だちは、ほかにもいるけど、その友だちとこの6人はつきあいがないし。
もうひとりは、アニちゃん。
すごいアニメ好き。
一時期、銀魂にハマってて、一番クジはロット買いしてた。
そのあと、忍たまにハマって、それも山田先生がいちばん好き、っていう子。
今はダンガンロンパにハマってる。
アニちゃんは卒業した時、介護の施設に就職したけど、利用者のおじーさんのセクハラがすごかったのと、ヘルパーのおばさんたちにいじめ抜かれて、ウツになって退職した。
うちの職場とおなじよーなおばさんたちが繁殖してる職場だった。
それから精神科通って、ウツがよくなったからまた仕事探したけど、二度と介護職はヤダって言って、フツーの非正規の仕事選んでた。
でも、すごい運が悪くて、働きだすとその職場が潰れたりして、転職に苦労してた。
今のところも潰れそーなんだって。
この前、社長が朝礼で、
「うちはもしかしたら潰れるかもしれません」
って、言ってたんだって。
もうひとりは、姫ちゃん。
姫ちゃんは、高校でいちばんの美人。
すっごい美人。
プリンセスみたいに、すっごい美人で、すっごい可愛らしー。
でも、すぐ「うんこ」って言う。
うんこの話、大好き。
私たちの前だけ、だけど。
姫ちゃんちは、母子家庭だったけど、お母さんが再婚したらお金持ちになった。
だから私たちの中で、ひとりだけセレブになった。
それで、高校卒業してからマンションでひとり暮らしさせてもらってる。
大学生にもなったけど、大学はやめちゃった。
20万ぐらい仕送りもらってるのに、いろいろバイトしてて、ハーレムデブとつきあってる。
なんでこんなにすっごい美人で、家もお金持ちになったのに、あんなハーレムデブとつきあうのか、ほかの5人には永遠にわかんないナゾ。
みんなで、ハーレムデブと別れるよーにいろいろ言ったけど、ぜんぜんダメだったからねー。
姫ちゃんも「別れる!」って言う時あるけど、でもやっぱりまたつきあってる。
ハーレムアパートに同居しないだけマシだよー、ってコケちゃんとかアニちゃんは言ってる。
マヨちゃんはなんどかハーレムデブを殴りに行ってたけど、
「デブすぎて、あたしのパンチ、ぜんぜんきかないから」
って、さいきんは諦めてる。
マヨちゃん、ほんとにハーレムデブのこと、グーパンチしてた。
マヨちゃんとゴスちゃんが喧嘩すると、ふたりはだいたい、私にグチ言ってくる。
でも、コケちゃんは覚めてるし、姫ちゃんはふたりの喧嘩にぜんぜんキョーミないし、アニちゃんは電話すると、今はどんな時もダンガンロンパの話しかしないし。
たまに喧嘩がすごくなりすぎると、みんな集まって、なんとかしよーとする。
それでも、コケちゃんは来ないけど。
そしたら、だいたいいつのまに、みんなから私がお説教される展開になる。
いろいろと生き方がだらしない、って。
コケちゃんがいたら、私の味方になってみんなと戦ってくれるけど、コケちゃんがいないと、コケちゃんの分も私が怒られるからねー。
コケちゃんもだらしない、ってみんなに怒られてる人だから、私とコケちゃんはだらしないとこで気が合う。
みんなそーやってワイワイ喧嘩してても、それでもアニちゃんだけ、いつもアニメの話はじめるから、ぜんぜん空気読めてないアニちゃんが勝って、みんなどーでもよくなって仲良くなる。
だけど、こーいう喧嘩しても、私たち、別にほんとに仲悪くなったりしない。
なんかだれかのピンチになると、みんな、ゴスちゃん頼るし。
ゴスちゃんがいちばん頭いーし、しっかりしてるから。
私がキャバのバイトしたら、またゴスちゃんがすっごいお説教してくるんだろーなー、って思った。
でも、ゴスちゃんより頭の出来が悪いんだから!って言ってるマヨちゃんより、私の頭の出来は悪いからねー。
出来が悪すぎるから、私はゴスちゃんに「うっせーんだよ!」って言い返せない。
お説教されると、素直に「そーだよねー」って思う。
だから、マヨちゃんと私の頭は気が合う。
マヨちゃんからお説教されても、「そーだよねー」って思うけど。
マウジー欲しーから、ちょっとだけバイトしよーかなー。
って思うけど。
今の仕事のほーも、私は次のシフトからお店が移動になることになった。
新店に、接客のことでクレームがいくつか来たんだって。
私のお店のほーに、わざわざ新店の苦情、言いにきたお客もいたし。
ぜんいん新人だから、まだいろいろと落ち着かないみたい。
それで、私が移動させられること、勝手に決められてた。
あっちのシフトみながら、ブルータスも移していくって。
うちのお店、今月は異様に発注少ないからね。
おばさんたちは、「お客が減ったからでしょー」って呑気だったけど。
私は、ぜったいヘン、って感じてた。
在庫が残らないよーに、ギリギリで発注かけてるから。
欠品もヘーキで出してるし。
これはほんとに閉める気かなー、って思った。
ただの私のあてにならない勘だから、だれにも言ってないけど。
これから私もどんなシフトになるのかもわかんないし、収入がおなじままなのかもわかんない。
だから、かけもちのバイト、ちょっと惹かれてる。