うんき
冷やしてた モヒート飲もうと 今見たら もう飲まれてた すごく悲しい
バカルディの瓶のやつ、自分で飲みたくて買ったのに。
お風呂に入る前に冷蔵庫に入れたのに、あがってきたらお母さんが、
「これ、おいしいね。もっと冷やしといて」
って飲んでた(ToT)
お金ないから1本しか買えてないのに。
夜中なのに信じらんないぐらい部屋の中が暑いから、お風呂あがってからノーブラにタンクトップ着て、下はぱんつだけのカッコでPCやってる。
濡れたタオルを肩にかけて。
女子力ゼロ。
でも、真夏はおじさんになりたい。
家ではぱんつ一枚でいいし、外ではおしぼりで顔拭けるし、暑っ苦しい髪はないし、汗対策にお金かけないで汗臭いままで開き直れるし。
弟は勉強なんてしてないのにエアコンつけた部屋で寝てる。
将来、私より社会の役にたつわけないのに。
私よりバカなあいつが吐く二酸化炭素が、地球の温暖化を加速させてるんだと思うと、ものすごいムカつく。
火曜の夜勤は次郎君(仮名)と組んだ。
夏はドリンクとか全体的に納品量が増えるけど、火曜はアイスがあり得ないぐらい大量に納品されてきた。
アイスケースや他の冷凍庫にぜったい入りきらない量。
常温の商品ならバックヤードに積んでおけばいいけど、フローズンやチルドはリーチインやウォークインに入れられないとアウト。
「毎日納品があるのに、いっぺんにこんなに取ってバカじゃねーの?」
って、次郎君はアイスの検品しながら呆れてた。
どうしてもぜったいどこにも入りきらないアイスがあった。
そしたら、ちょうど、ヤンキーの団体のお客が騒いで入ってきた。
「アイス食おうぜっ」
って死ぬほど騒ぎながらアイスケースに群がったから、
「これ、おいしいですよ!今、とっても人気なんで、うちでも沢山入れたんですが、すぐ売れちゃうんですよ!」
って、そこのヤンキー全員に入りきらないアイスをすすめた。
「えー、マジ?マジ?これ?これ?これ、そんなにうまいの?おい、これでいいよ!これ全部買おうぜ!」
ってリーダーみたいな人がみんなからお金徴収して、箱買いしてくれた。
外の駐車場でみんなでそれ食べてたから、
「あれ、うまくないってクレームきたらヤバイね」
って次郎君が笑ってた。
ちょっとマニアックなアイスだったから。
でも、リーダーみたいな人が入ってきて、
「これ、マジでうまいわ。教えてくれてありがとね。これ、余ったからお礼ね」
って私と次郎君に1つずつくれた。
二人で食った。
そのあと、次郎君が休憩中、私がレジしてたらヤクザっぽいお客が来た。
タンクトップ着てたけど、肩から手首まですっごい刺青の人。
すっごいお酒臭くて、結構酔ってた。
買うものをカゴに入れてレジに持ってきてから、レジ前で売ってたチロルチョコ見て、
「これうまいー?」
ってニコニコ聞いてきた。
「おいしかったですよ」
前に一個食べたことあったから、ウソじゃなくそう言った。
「じゃあこれ、全部買っちゃおうかなー」
って箱買いしてくれた。
それから、私の名札見て、
「ミカサちゃん(ほんとは名札は苗字)、これ食べるー?」
って私の前にチロルチョコを一粒置いた。
「じゃんけんして。勝ったらあげる」
って言われたから、
「えー、いいですよ」
って遠慮したら、
「オレとじゃんけんしたくない?」
って聞かれた。
怒らせると怖い人かも、と思ったから、じゃんけんした。
勝った。
チロルチョコもらった。
そしたら今度はチロルチョコを一粒ずつ何個か積まれて、
「はーい♪またじゃんけんねー♪」
って言われた。
しょうがないから、またじゃんけんした。
勝った。
「強いね」
って言われて、またチロルチョコ出して、じゃんけんさせられた。
バックヤードでレジの防犯カメラのモニター見て、私が絡まれてると思った次郎君が、
「お客さん、ご用件なら自分が承ります!」
ってすっごい凄んだ声で出てきた。
「男はお呼びじゃないんだよねー。ミカサちゃん、またじゃんけん♪」
って、お客がまたチロルチョコ出して積んできた。
「じゃんけんで勝つともらえるの」
って私が次郎君に説明したら、次郎君が、
「オレがお相手しますよ」
って、私をかばうようにして自分が相手した。
「いーよ。そう言うならじゃんけんするか」
って、お客がチロルチョコを箱ごと次郎君の前に置いて、じゃんけん勝負してきた。
次郎君が勝った。
というか、このお客、じゃんけん弱すぎ。
「これやるよ。そういう勝負だから。いーよ、これ、食いな」
って、そのお客は箱買いしたチロルチョコ、箱ごと私と次郎君にくれた。
「これはお客さんが買ったものだから受け取れないですよ」
って次郎君が返そうとしたら、
「馬鹿野郎。おまえにやるんじゃねーよ。この子にやるんだよ」
って私にくれた。
私も、それを返そうとしたら、
「こんな夜中まで酔っ払い相手によく働くよな。若いのに。それは二人で食いな」
って帰っちゃった。
ありがたく二人で分けた。
食った。
明け方、いつも早朝のお散歩する近所のオジーサンが、
「あれ、今夜はおばさんはいないんだね。若い人たちが夜中に起きて偉いね」
って、私と次郎君にプリンを買ってくれた。
そのあと、外のリードフックを使ったお客の犬がそこでウンコしちゃって、
「ついでに掃除するからいいですよー」
って、外掃除してた私がそう言ったら、その人は店に入ってから次郎君に、二人で食べてね、ってスイーツを買ってくれた。
「今日はなんかすごい儲かっちゃったね」
って次郎君と笑って帰った。
シフトにはいるたびいつもこんなだったら太る。
いろいろ食べ物もらった日だったけど、次郎君からは今度、カノジョ募集中の友達紹介してもらうことになった。
火曜の夜勤に入る前、JKが群がってた雑貨屋に寄った。
JKが群がって騒いでたのは、500円のパワーストーンだった。
金運とか恋愛運とか、そういう運気があがる石。
500円だから私も買った。
金運と生活運の石をミックスしたブレス。
500円のやっすいやつだからぜんぜん期待してなかったけど、運気がすごい。
「ウンコ掃除するとウン気がよくなるよ!」
ってウンコ掃除した時、店長代理から言われたけど信じなかった。
火曜の夜勤のは、500円のパワーストーンの運気?
それともお客のウンコのウン気?
それがすごく気になる。