ふたりのフラニー
シャンプーの 詰め替えいつも 私だね みんないい加減 禿げちゃえばいいのに
今夜も禿げの呪いかけた。
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この前、AさんがあることでBさんにいろいろイヤミを言ってた。
Aさんは、自分が好きじゃない人にはすぐ態度にだす人だから、Bさんのことも好きじゃないんだなー、っていう感じの口調だった。
Bさんはただ「うんうん」って相槌打って聞いてただけ。
軽く流してる、っていう感じだから、別に喧嘩っぽくもならなくて、私も心配するよーなトラブルじゃないって思って、そこから離れよーとした。
そしたらAさんもそこの場所から離れたんだけど、その時、Bさんに捨て台詞みたいな脅しを言った。
Bさんはなにも言い返してなかったのに、それがAさんをイライラさせたんだと思った。
でも、その捨て台詞が、傍で聞いてた私には「?」っていう話だったからねー。
なんでそんなことが捨て台詞になるんだろー、っていう、よくわかんない批難の仕方をしてた。
Bさんはその捨て台詞を言われた時、すごい軽く笑ってただけ。
Aさんが先に立ち去ってから、つい私がBさんと目が合うと、Bさんは笑いながら「なんだろーね」って感じで首傾げてた。
余計な突っ込みしちゃダメかなー、って思って私が黙ってたら、
「今、私にあー言ったのはね。あれで私を脅したつもりなんだよね」
って、Bさんがぼそっと言った。
「あれ、脅しだったんですか」
って、私はよくわかんなくて聞いたら、
「うん。あれね、Aさんがいちばん言われたくないことなんだよね。だから人にもわざとあーいうこと言うの」
ってBさんが言った。
それで私もわかった。
Aさんは、自分がされたらイヤなことを、好きじゃないBさんにしたんだよね。
そーすればBさんがイヤな気持ちになる、って思ったから。
だからAさんは意地悪で、そーいうこと言ってきて。
でもBさんは、それでぜんぜんイヤな気持ちにはなってないよーだった。
私もいろいろ経験してきてわかってきたことだけど。
人はだれかを脅す時、そのだれかにとっての弱点を突くんじゃなくて、自分の弱点を突くことを言ったりするよね。
自分にとって痛いことと、人にとって痛いことは、無意識に「おなじ」って思ってるんだよね。
私も人からイヤミっぽいことをされた時、「?」ってなったことがある。
私に対して「イヤミを言ってる」っていう雰囲気だけはわかったんだけど、なんでその人はそれが「イヤミ」になると思ったのかなー、っていう部分が「?」だった。
でも、その人にとって、それが自分の弱点なんだなー、って気づいた。
だから私の弱点もおなじ、って思いこんでて、私を攻撃する意味で自分の弱点の部分を突くイヤミを言ってきたんだよね。
だけど私にとっては、ぜんぜんその部分は弱点でもなかったからねー。
的外れなイヤミ攻撃だったんだけど、そんなことされたおかげで、私はその人の弱点を知っちゃった。
この人、これが怖いんだー、って。
そんなもの怖がってるんだー、って。
私はぜんぜんそれが怖くもなかったから、それを怖がる感覚に興味ももった。
人を攻撃する時がいちばん無防備になる。
っていうよーな言葉をツイッターで見た気がするけど。
夢中になってある方面を攻撃してる時、自分が違う角度から攻撃されることに気づけない、っていう無防備。
それと、人を攻撃する材料は自分の弱点である、っていう無防備。
そーいうことなんだろーね。
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今夜はお父さんが急に、しゃぶしゃぶの食べ放題に行くー、って騒いで。
奢ってくれるって言うし。
それで乗ったのは私と弟だけで、お母さんは行きたくないって言って行かなかった。
それで3人でしゃぶしゃぶ食べながら、お父さんが私の部屋の本棚に突っ込んできた。
さいきん家に戻ってきてから、人の部屋に勝手に入ってきて、いろいろ見るからねー。
私が村上春樹の本を持ってるの見て、
「うちの家系には村上春樹なんて好きなやつはいない」
って言いだした。
「なんで村上春樹なんて読みだしたんだ」
って言われて。
「村上春樹ってのは、村上春樹を読んだ気になってるだけのやつから好かれる作家なんだ」
とか言って。
ルイ・ヴィトンのモノグラムとおなじなんだって。
あんな柄、まともに考えたらぜんぜん洒落てもないだろ、って。
それなのにあの柄をありがたがるのは、あの柄が好きなんじゃなくて、ルイ・ヴィトンを持つことに酔いたいからだ、って。
お父さんもモノグラムの財布、持ってるけどねー。
自分でひとつぐらいはルイ・ヴィトンをもってやるか、って思って昔買ったんだって。
村上春樹も、春樹が好きっていう人は、村上春樹の小説がほんとに好きなんじゃなくて、村上春樹を読んでる自分が好きなだけ、なんだって。
「村上読むなら、龍を読め。コインロッカー・ベイビーズは名作だ」
って、お父さん、しゃぶしゃぶ食べながらすごい力説してた。
お父さんがその時、ほかに名作って言ってきたのは、小説じゃなくて、北野武監督の「その男、凶暴につき」だった。
なんでそこで、その映画が出てくるのかもわかんなかったけど。
それにその映画、昔、お父さんと一緒に見せられたし。
そしたら弟が、
「この人(私のこと)、村上春樹が好き、っていう感じの彼氏がいるからね」
って言った。
えー、それだれー、って思ったら、スプリさんのことだった。
スプリさんとゴハンした時、弟に目撃されてた。
スプリさんが春樹おじさん好き、っていうの、当たってるから笑ったけど。
そしたらお父さんが、
「彼氏がいるなら早く結婚して家を出てけ。ミカサの部屋をオレに使わせろ」
とか言うからね。
「結婚なんて一生しないよー」
って、言い返したら、
「女はなー、結婚するのがいちばんラクな生き方だよ」
って、お父さんが言ってきた。
こんな説得力のない言葉って世界一だよねー。
お父さんと結婚したお母さん、少しもラクに生きてないじゃんー。
それからまた本の話とか村上春樹の話とかになって。
今はなに読んでるのか、お父さんに聞かれたから、春樹おじさんの訳の「フラニーとズーイ」って話した。
そしたらお父さん、
「昔はゾーイだったのに、村上春樹はズーズーなまってんのか」
とか言うし。
お父さん読んだの?って聞いたら、お母さんがすごいサリンジャー信者だから、イヤってほど話は聞かされたんだって。
お父さんのイメージだと、ライ麦畑のホールデンは、ブラッド・レンフロなんだって。
だから私は、
「フラニーはジョディ・フォスターなんだよねー」
って言った。
なんでかわかんないんだけど、フラニー、っていうと、若い頃のジョディ・フォスターの顔が浮かぶの。
そしたらお父さんが、
「バカ。それはホテル・ニューハンプシャーだろ」
って言った。
それで私、「あー!」ってなった。
「フラニーとズーイ」を野崎さんの訳ので前に読んだのは、小学生か中学生のひきこもってた時で、だから読んでなんとなく面白かったよーな感想みたいな気持ちは覚えているんだけど、内容はぜんぜん覚えてない。
あの頃はお母さんの本棚にある本はいろいろ読みまくったからねー。
あの頃の私には難しすぎる小説が多かったけど、読み終わるとなんかわかった気になってた。
でも、ぜんぜん内容を覚えてないから、いつのまに私、「ホテル・ニューハンプシャー」のストーリーとごちゃ混ぜになってた。
どっちもフラニーだし。
サリンジャーのほーは、グラス家っていう家族の話だし、ホテル・ニューハンプシャーも一家の話だし。
サリンジャーのフラニーとお兄さんは仲いいし、ホテルのフラニーはお兄さんだか弟だかと近親相姦しちゃうし。
「ホテル・ニューハンプシャー」のほーも断片的にしか話を覚えてないから、余計に記憶がシャッフルされちゃってる。
ホテルのほーは本も読んだけど、その前にお父さんと一緒に映画を見たんだよねー。
その映画でフラニー役やったのがジョディ・フォスターなんだよねー。
だから私、サリンジャーのフラニーも、ジョディ・フォスターのイメージになっちゃってたんだよねー。
お父さんに言われるまで、サリンジャー読んでても私の頭には「ホテル・ニューハンプシャー」は出てこなかった。
たまにはお父さんの話も役に立つねー。
小学生とかの頃にどんな本を読んでも、ぜんぜん覚えてなければ、読書したことなんて意味ない、って思う。
今も小説って、読んでて理解するのが上手じゃない頭してるけど。
子供の頃はもっと頭の中がヘンな感じになってて、「フラニーとゾーイ」は、いろんな字がいろんな色になるから、目がチカチカしたのも覚えてる。
野崎さんの訳の文庫って、表紙が水玉模様だしね。
「フラニー」っていう文字は、私には3色になるから、フラニーって名前だけがすごい印象に残る。
フラニーって名前、すごい好きになったし。
だから私は、最初に自分のHN決めた時、Frannyって名前にしてた。
Frannyって英語で書くとFだけビリジアンで、r~yまで赤~紫のグラデーションになる。
春樹おじさんのほーが、出てくる人たちのセリフ、頭よさそーだよね。
野崎さんのはなんかすごい自然な感じのお喋り言葉で、春樹おじさんのは「小説のセリフ」っていう感じがする。
原文はどっちの雰囲気なのか、ぜんぜんわかんないけどねー。
Flamenco | Amazing Dance by Joaquín Cortés - YouTube
タップダンスに飽きて、フラメンコ習おーかなーって思って、フラメンコの動画をいろいろ漁ってて見つけたの。
ホアキン・コルテス、すっごいカッコイイ(^_^)