痔女 vs 禿男
最初のうち 猛暑でこらしめ あとフツー 涼しいじゃん♪って 感謝させる気
すごい猛暑が続いて、急に涼しくなってからまた暑くなったけど、最初の猛暑ほどじゃない。
意外にラクな気がする。
でも、気温は30度越えてるのに。
すごいブラックの社長ですよって見せかけて、でも新人議員になったら雑巾がけからしますって言って、ちょっといい人かもって思わせる作戦と似てる。
今年の夏はブラック。
水曜の夜勤はブルータスと組んだけど、すごい機嫌悪かった。
「機嫌悪いなら帰ってよ。一緒に仕事したくないから」
って、私もブルータスには言えるから言った。
「おまえ、男をなんだと思ってんの?」
って怒ってきたから、
「意味わかんない」
って言った。
ほんとに意味わかんなかったから。
「ゴハン奢らせて、その気にさせて、それで違う男にえっちさせるって、おまえってなんなんだよ。そういう女なのかよ」
って怒ってきた。
すごいびっくりした。
「デニーズのお茶漬けとえっちがなんで関係あるの?」
って聞いた。
「奢るって言ったの自分じゃん。私が言ったわけじゃないし。それに、あの奢り、その前に私を怒らせたからなんでしょ。なんでデニーズのゴハンでえっちさせる話になるの?」
ってキレた。
「あ、そうか。あれ、オレが謝りたいから奢ったんだっけ。ごめん。今の忘れて」
ってブルータスが思いだした。
こいつって、ほんとバカ。
ブルータスは、私とダリさんのこと、アンジェラさんから聞いたんだって。
お店には全員が見る申し送りノートがあるけど、それに書けばいいのに、ってアンジェラさんに思った。
そしたら私も、みんなにスピーディに知らせたい話はアンジェラさんに話すだけで大丈夫ですよ、って書きたい。
アンジェラさんってNSAやスノーデンより危険。
フツーの一般人の情報ってデジタルよりアナログだから、ネットの傍受よりリアルの噂の収集のほうが価値ある。
それを亡命とかの取引もしないで、タダでぜんぶ暴露するからね。
アンジェラさんって、いつのまにそよかぜさんの親の収入まで知ってて、それ、おばさんたちに広めて悪口にしてたし。
そよかぜさんが話したわけじゃないことを、どこからか仕入れてきてるからびっくりする。
というか、気持ち悪い時がある。
ブルータスからダリさんのこと、いろいろ言われたから、
「私のこと好きだったの?好きならそう言えばいいじゃん。好きじゃないなら関係ないじゃん」
って言い返したら、
「好きなわけねーだろ。おまえもうぬぼれんなよ。少しはそよかぜさんみたいに可愛いくなれよ」
ってキレてきた。
だから、
「好きじゃないなら私のこと、ぜんぜん関係ないじゃん。それなのにいろいろ言うのっておばさんみたいだよね」
って言ったら、
「おばさんとかふざけんなよ。おまえってほんと、ムカつく」
って言いながら、私の前から消えた。
また私が勝った。
でも、そのあと、いつも私のお尻触るおじさんのお客が来た。
いつも私がフロアで納品とかやってると、わざと話しかけながらそばにきて、すっごいお尻触ってくる。
だから、フロアからレジの中に逃げた。
そしたらブルータスがそれに気づいて、
「またケツ触られたらオレに言えよ。客なんて関係ないからぶっとばしてやっから」
って言ってきた。
「でもお客だと、それほんとにやるのマズイじゃん」
って言ったら、
「じゃあ、あたしは痔が痛いからお尻触らないでください、って、そよかぜさんみたいな可愛い言い方で言ってみろよ。そしたら触ってこなくなるよ」
って言われた。
そのお客が私に、欲しいジュース探してってわざとフロアに呼び出してまた触ろうとしてきたから、ブルータスの名案通り言った。
そよかぜさんみたいに可愛くは言えないけど。
そしたら、
「えー、まだ若いのに痔になるの?おじさんも痔主。あれは酒飲むとうずくんだよね」
って笑いながら自分の痔の話して帰ってった。
「あれ、なにも買わないで帰ってったの?」
ってブルータスに聞かれたから、
「うん。痔だから触らないでって言ったら大人しく帰ってったよ」
って教えた。
「えー、おまえ、ほんとにそう言ったの?マジ?おまえ、女じゃねーな。女がフツー、ほんとにそう言うかよ。女が痔なんて言うなよ、恥ずかしい。おまえ、ほんとに痔になりそうな女」
って騒ぎだした。
すごいムカついたから、
「でもブルータスは男だから禿げるかもしれないよね。私は女だから、その心配はないからね。女でよかったー。女は痔だけだからね!」
って言い返してやった。
「オレ、ほんと、おまえみたいな女、ダメ」
ってキレて仕事してた。
最後にはやっぱり私が勝った。