はてなとお祖父ちゃん
はてなはまだぜんぶ使い方がわかってない。
管理の画面も、ダッシュボードの意味がよくわかってないし。
自分のユーザー名をクリックすると、プロフィールの画面になるのを発見した。
それのデザインも変えられたから変えてみた。
でも、お気に入りとかファンとかフレンドとかぜんぜんわかってない。
ブログに関係ないみたいだから、そのままにしてるけど。
日記の文章で、勝手にリンクになったりするのがわからない。
いろんなブログがあるけど、はてなを選んだ理由はある。
私のお祖父ちゃんは(お母さんのお父さん)、私が生まれてすぐに死んじゃったけど、作家だった。
ぜんぜん誰も知らないような作家。
でも、アマゾンで古本は売られてる。
それも初版。
ぜんぶ初版で絶版になってるから。
だけど、定価より高くなってる。
「エゴサーチ」っていうのを知って、自分の名前(本名)でやったりしてて、そのうち家族の名前でもいろいろやってみた。
親戚の人とか親とか仕事のがヒットした。
そしたら、お祖父ちゃんの手書きの手紙がオークションに出てたのを見つけた。
お祖父ちゃんが書いた手紙に値段がついててびっくりした。
「お母さん!お祖父ちゃんの手紙、売れるよ!」
って言ったら、
「ほんと?腐るほどあるから売っちゃおうか」
ってお母さんもおどろいてた。
でも、親不孝だからって売らなかったけど。
お母さんも、お祖父ちゃんになんでそんな価値があるのか不思議がってた。
それでもっといろいろ調べたら、お祖父ちゃんのことをブログに書いてる人がいた。
お祖父ちゃんの生きてた頃の思い出とか、お祖父ちゃんの本の感想とか。
ものすごくお祖父ちゃんを尊敬してる感じだった。
お母さんにそのブログ見せたら、この人たぶんいつもお祖父ちゃんのお墓参りに来る人だ、って。
ぜんぜん知らない人だったのに、何年か前にお祖母ちゃんのところに突然、お墓参りさせてください、って頼みにきた人なんだって。
その人が書いてたのがはてなだった。
それで、はてなが気になってた。
お祖母ちゃんはすごい高齢だけど、まだ元気。
今も、エレベーターやエスカレーター使うのがもどかしいって階段使うし、私と弟にゴハンおごってくれる時はいつも焼肉食べ放題。
私はそんなに食べれないけど、弟とお祖母ちゃんだけでものすっごいモトとる。
お祖母ちゃんは田舎の子沢山の貧乏農家の女の一番末っ子に生まれて(その下に弟たちがいる)、女の子は食べさせれないからって長女以外はぜんぶ里子に出されたんだって。
だから、お祖母ちゃんは子供の頃、ひきとってくれた家がしょっちゅう変わって、自分でも覚えてないぐらいぜんぜん知らない他人の家を転々として育った。
女の子は子供でも家事やらされて、学校休んでばっかだったから、まともに勉強も出来なかったんだって。
最後の里親が離婚しちゃって、それでほんとの自分の家に戻されたけど、やっぱり貧乏なままだったから、兄弟にいじめられたんだって。
食べるものがその分減るからって。
お祖母ちゃんは、自分の家でこんな扱いされるなら、住み込みで働いてそこのおかみさんにいじめられても同じだと思って、住み込みの仕事見つけた。
自分で稼いだお金で好きなもの食べた時、人生で一番幸せ感じたって。
学校もちゃんと行ってないバカだったから(お祖母ちゃんはいつも、自分で自分のことバカって言ってる)、お祖母ちゃんは働くようになってから本を沢山読むようになった。
何冊も買えないから、人に借りたり、古本屋に立ち読みに通ったりしたって。
今でもお祖母ちゃんはものすごい読書家。
今はお金あるから、家には図書館みたいにすっごい数の本がある。
それで若い頃のお祖母ちゃんは、頭のいい男の人が好きだからって、文壇バーみたいな飲み屋で働くようになった。
そこで、まだ作家のタマゴだったお祖父ちゃんと出会って、お祖父ちゃんが書いた小説をたくさん読まされたって。
ぜんぶすっごくつまらなかったから、そのこと正直に言ったら、お祖父ちゃんといつも喧嘩になったって。
だけど、お祖母ちゃんは貧乏に慣れてるから、食べれない生活でもヘーキだから売れない小説書き続けていいですよ、って言って、お祖父ちゃんと結婚した。
でも、お祖父ちゃんは、家族はぜったい飢えさせません、ってお祖母ちゃんに約束したんだって。
それでちゃんと仕事しながら、売れない作家になった。
約束通りちゃんと作家じゃない仕事で稼いだから、お祖母ちゃんはプチ贅沢な暮らしは送れた。
結婚してからも、ものすごく夫婦喧嘩したって。
お母さんは、子供の頃から親の喧嘩が嫌でグレそうになったって。
夫婦喧嘩の原因は、いつも、お祖母ちゃんがお祖父ちゃんの書いた小説を、
「こんなのつまらないから、売れるわけがない」
って言うからなんだって。
子供の頃からそういう親の喧嘩聞いてた私のお母さんは、いつも書いた小説けなされてたお祖父ちゃんの味方になって、中学になった時、お祖父ちゃんの本を読んでみたんだって。
そしたら、お祖母ちゃんの言ってたことがものすごく正しかったのがわかったって。
「びっくりするぐらいつまらなかった」
って、お母さんは私にお祖父ちゃんの本をくれた時、言った。
私も読んだけど、ほんとにつまらなくてびっくりした。
でも、お祖父ちゃんは、小説はつまらないけど、頭がよくて話は面白かったって。
お祖父ちゃんがまだ生きてたら、
「ぜったいミカサはすごく可愛がられたね。あの人、おバカちゃんが好きだったから」
ってお祖母ちゃんはいつも言う。
お母さんの従妹が、ぜんぜん勉強出来ないおバカな女の子なんだけどいつもニコニコしてる子で、お祖父ちゃんは親戚の子の中で一番その子を可愛がったんだって。
お祖母ちゃんは、私はお母さんのその従妹に似てるって言うけど、お母さんは、
「ミカサは不愛想で可愛げがないからぜんぜん似てないよ」
って言ってる。
似てるのは頭がよくないとこだけだって。
私が頭がいい男の人が好きなのは、お祖母ちゃん似。
私もお祖母ちゃんみたいに、売れなくていいから作家の人と結婚したい。
「ぜんぜん小説が売れなくて結婚も出来ない村上春樹」みたいな作家と私も出会いたい。
文壇バーってうちの近くにはぜったいないけど。
あったとしても、飲み屋の接客は私にはムリだと思うし。
友達からキャバクラ誘われて体入したことあるけど、男にへらへら笑うのムリだった。
お母さんは、
「水商売は頭がよくないと出来ないからあんたにはムリ」
って言う。
へらへら笑って話合わせるのって、ほんとに頭がいいから出来るって私も思う。